扉日記

日々の扉や、開けてみたい数々の扉に思いを馳せつつ・・・♡

㉓治る人、そうでない人(6-20)

2017/6/20(火)

 

整形外科の手術で入院するときは必ずリハビリがあります
リハビリ室には色々なコンディションのかたが来ています
リハビリの後、どの程度元に戻るかは
本人の努力次第の場合とそうでない場合とがあります
100パーセント元に戻らない場合がある・・・ということです
その現実があからさまになっている場所がリハビリテーションセンター・・・

 

 

30年前、骨折・手術で入院したときのこと
私は骨折の手術前に10日間ほど膝と腰の2か所に鋼線を通して牽引をしていました
そのせいで膝の可動域が極端に小さくなり、
リハビリの最大の課題は膝を元に戻すことでした
あとから先生が教えてくれたのですが
牽引でここまで膝が動かなくなってしまって、みなショックだったのだそうです
しかしその後、マッサージ中心のリハビリで完全に元の可動域を回復できて、
それで再度驚いたそうです
・・・って、ずいぶんとおおらかな時代でしたよね・・・笑
 
リハビリ最初の時、膝の固まり具合を確かめながら、先生が
大丈夫、がんばって元に戻そうね
と言ってくれたのをよく覚えているのですが
あれは半分はったりだったと、後から知って笑いました
 
因みに4か月の入院、免荷装具を付けて過ごした家での4か月間、
あわせて8か月間自力では歩けない生活をしていましたが
入院中もその後の4か月もさらに装具が外れてからもこれといった筋トレもせず、
いつの間にか普通に歩けるようになっていました
何のリハビリもせずに・・笑
膝の戻りと合わせて、20代という若さゆえのことだと、しみじみ思います
 
退院を控えたある日、リハビリ室で、突然一人の患者さんから声をかけられ、
貴方がだんだん良くなっていくのを見ているととても励まされた 
貴方を目標に頑張って来れたような気がする、
と言われました
その時は4か月も入院していたので、リハビリ室では顔なじみの患者となっていたとは思いますが
私は、知らない人とはあまり人と交わらないタイプなので、話をしたこともない人でした
驚きました
そして思ったのですが
私は単にけがをしただけなので、治るのは当たり前なのです
そのかたがどういうけがなのか、病気なのか、分かりませんでしたが
そんなこと言われたって、と、当惑しました
 
と同時に、その時に知り合いになった入院患者仲間の若い友人に思いが行きました
一人は脳腫瘍、もう一人は脳梗塞で片麻痺、いずれも20代前半
私は20代後半でした
私は治るけれど、誰かの目標になるかもしれないけれど
二人の友達は程度も重く、病気そのものも運動機能の失墜も
治ることは、ない・・・・

 

 
今日、
リハビリの順番を待つ間にお隣の雑談が耳に入って来ました
付き添いの若い看護師さんがパーキンソン病の患者さんにグチをこぼしていました
・・・・どこにも出られなくて、退屈しちゃった・・・
患者さんが笑って応えていました
・・・・私なんて一生一人じゃ外になんか出られないんだから・・・
どういう話なのかは詳しくは解りませんでしたが、
看護師さん、そんなこと言っちゃっていいの、とびくっとしたものの
患者さんの方が一枚上手で、あぁよかったと・・・
普通に若い女の子と経験豊かな年配の女性の会話でした
普通のことを普通に会話した看護師さんも偉いんだ、と思いました
 
そう話せる下地ー看護師さんと患者さんとの信頼関係があったのだと思います

 

運動能力を著しく減少させた体を元に戻そうとするリハビリテーションですが
でも、運動機能を失ってしまったものについては、完ぺきには戻りません
老人も、青年も、子供も、です
今回はお会いしませんでしたが、四肢欠損の方もいらっしゃいます
 
大変厳しい現実です
そういう現実をいつも見せられて、私は動揺します・・・
 
自分がそういう状況になったらと思うと怖い、
そういう方とどのように接すればいいのか戸惑いがある、
単なる怪我の私なんかいろいろ悩む価値もない、みたいな自己嫌悪・・・
ちゃんと現実を受け入れなくては
当たり前に意思疎通をしなくては
同情や偏見で接してほしくなければ、自分もそうしなくては
以前に入院していたときも今回も、
100パーセントは元に戻らない人、の強さを思います
 
疑似内転でショックを受けた昨日今日
大騒ぎしていた自分が恥ずかしくなる気がします 
努力次第で十分元に戻る今の自分の方が、よほど弱音を吐きやすい・・・
 
  
ポタージュスープの朝食 
バナナ、一本フルサイズで欲しい(笑)
 
 ごちそうさま