義母も実母もともに年末年始は一人
特に実母は父が施設で暮らすようになってからのことなので
1人でのお年取りはさびしいことだろう、と
温泉での年越しを安易に考えたのがそもそもの間違いでした
実母は、
なんで父のいる町を離れてまで温泉なんかに行く義理があるのか
百歩譲ってお父さん(父)の言う事なら何でも聞くけれど
それが私(娘)ならば、どうしてそんな娘のわがままに従うことができるのか
と言い出す
一方で義母は、最初にこの話をしたときは
それはいいこと、みんなに会えるのなら楽しみだ、と言ってくれたのに
やおら直前になって
いまさら温泉でなんて面倒くさい、と
1人暮らしで生きてきた義母にとっては
そもそももいつだってお年取りは一人で静かに迎えてきたことなのだから、
と言い出す
年より二人からだめだしをくらってしまってね・・・
でも義母は考えなおしてくれて
もうみんなで温泉に集うなんてそう簡単にはできないことになりつつあるから
行くなら今かしらね、と
そうですよそれそれ!
でも私の口からそこをあまりあからさまに言うわけにはいかなくて
そこを考えて今のうちにみんなで集っておきたいのだと力説し
何とか勧誘に成功!!
義母が行くのなら一緒に行きたい、と母ものってくれて
こちらもやっとこさ勧誘成功!!
こうしてめでたく温泉年越が実現したのでした
のはずでしたが・・・
そううまくはいきませんでした・・・
ひなびた老舗の温泉宿は
宿のしつらえも宿のかた達のもてなしも食事も
全てが丁寧で文句のつけようもないのですが
ただただバリアフリーからはかなり距離のある宿でした
結果、この宿の一番の売りである温泉を年寄りが楽しむことができなかったのです
もともと山の中に開かれた古い温泉ですから
バリアフリーを求める方が場違い、というものです
館内、登山のような階段の連続で
足のほとんど動かない義母は
案内された部屋までたどり着くことができたのがほぼ奇跡
部屋へ入る上がり框でさえかなりの難所(笑)となってしまう始末
結果、部屋に入ったきり、出られない・・・
部屋にも温泉かけ流しの内湯があるのですが
ヒノキの香が何とも言えないぜいたくな気分のする内湯の湯船ですが
壺のように背が高く
かつ、湯船内に何も段がないので
手足が満足に動く私でも、入ったら溺れそうでした・・・(笑)
本当に素敵なしつらえなんですが
握力のほとんど無い義母は、このカランはうまくひねることができません・・・
一方母は、幸いにも歩けるので展望風呂に行きたかったと思うのですが
一日目、夕食後は疲れてしまって「お風呂にはいりたくない」
開けて次の日、
元旦の朝食をゆっくりとったあとはすぐにチェックアウトになってしまい
入浴の時間無し・・・
年寄り二人には
温泉に来て温泉にゆっくり入れないなんて、
という残念な思いをさせてしまいました・・・・
大晦日の食事と飲み物の一部です
御夜食にお蕎麦がふるまわれました
元旦の朝です!
食後に出されたコーヒーのコーヒー椀が可愛いいと女性群大喜び・・・♡
留守番をしていた夫から
それは宿のチョイスを間違えたお前が悪い、と言われました
いまどきどこもバリアフリーは当たり前、と思い込んでいた私でした
たとえば、北アルプスの山小屋は、そこへ登山できる人を前提に作られています
そういう意味で、いろいろな仕様の宿があることは考えてみれば当たり前なんです
そこのところを事前にしっかり調べておくべきでした
年よりのペースを考えれば、日程もきつかったなと反省
私は早く自分の家に戻りたかった、というのもあって
ゆったりした日程にしなかったことを強く反省
極めつけは義母がボソッと
あまり大した食事が出なかった、と・・・
踏んだり蹴ったり殴り倒されたり・・・・(笑)
でも、久々に身内が集う機会を得たということで
義母も母も含め、皆からありがとうと言われました
それだけで十分幸せな私のお正月でした
今回の宿、私が夫婦でいったとすれば、もう最高な温泉宿でした
偶然にも古美術の収集が特色になっている宿で、
これは夫の興味の惹かれるところ
夫もこの宿に大満足だったと思います
通された私たちのお部屋のお床には西郷孤月のお軸がかかっていました
この宿自体が西郷弧月の収集家(パトロン?)のようでした
たまたま西郷弧月は義母のお気に入りらしく
義母も彼のお軸を持っているという誼で、
このことが、かなり義母のご機嫌の好転に寄与してくれました
透明で豊かな温泉もとても心地よく
いくつかある大きな風呂も魅力的でたのしそう
食事も、私なら十分
試飲させてもらって、いろいろなお酒を楽しめるのもよかった!
宿の方でも、義母が動けないのを見て
食事やコーヒーなど
本来お食事処で頂くようなところを、全てお部屋に持ち込んでくださるなど
出来る限りのことをしてくださいました
女将さん、若女将さんの着物姿もとても美しかった・・・
看板犬がいて、夜になると玄関に現れるというので
夜、年越しのおそばを食べた後に会いに行きました
この宿を象徴するかのように、穏やかで静かで、ずっしりと構えている看板犬でした
いろいろなことのあった年末だったので
彼にもひとしおの思いがしました
どうもありがとう、お世話になりました
いい宿でした
また、ゆっくりお風呂に入りに来ますね、必ず・・・