扉日記

日々の扉や、開けてみたい数々の扉に思いを馳せつつ・・・♡

隅田川

 

誘われて、能を楽しんできました


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知り合いが謡曲と仕舞を習っている関係で
能は宝生能楽堂で鑑賞することが多いです

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今回は久々、泣きました

泣かせた番組は隅田川

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こちらに解説があります
詞章(台本)もありますので・・!
文化デジタルライブラリー
(画像をお借りいたしました)
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舞台も終盤
亡くなった子を悼んで念仏をあげようということになって
念仏を唱えると・・・
舞台の上のシテやらワキやらと、地謡方、皆の声の中に、
ハッキリと異色の声色
子供の声が聞こえるんです
まあ、わかってはいたんですが、でも
ああ、聞こえるぅ・・・と思ったとたんに涙が・・・・
いろいろ考えさせられて、というより
直接五感に訴えかけられたというような本能的な涙です・・・

尤もここにたどり着くまでに
シテ(子を亡くした母)がもう十分に涙を誘ってくれてはいるのです
両手を面にかざしての、泣くしぐさ
動きも言葉も少なく
しかも私はその言葉もよくわからず
でもゆっくりゆっくりじっくりと
こちらにその悲しみをじわじわと伝えてきていたのです
面をつけているわけですから顔の表情はないはずなのに
表情のない面が本当に切なく愛おしく見えてしまって・・・
もしかしたらこの時の能楽師さん
すごく上手かったのかも・・・

舞台の上では大変です

ねぇ、子の声、聞こえた?聞こえたでしょ?
確かに、自分達も聞こえた!

思わず客席から、私も聞こえた!と喋りかけたくなるような成り行きでした

でもやはり子は既に亡くなっているのですから
見えても亡霊
子を亡くした母の切なさだけがいっぱいに残って舞台は終わるー

拍手喝采

とならないところが能の面白いところだなってつくづく思う

シテが舞台から
ゆっくりゆっくり退場する間
場内は息を止めたような静寂に包まれ
そして出入り口の揚げ幕に差し掛かると静かに拍手が沸き起こる

日本人はコンサートなどで良かったのか悪かったのか
あまり感情を出さないって は よく言われたけれど
その起こりは能じゃないかって思うほど・・・
感情を押し殺した場内の客と、その静かな拍手・・・・

面白い文化だなぁとつくづく思います